人間は誰でも年を重ねると、脂肪酸や過酸化脂質が原因とされている「加齢臭」という身体のにおいが出てくることが明らかになっており、30代後半からその量が増えると考えられていす。
中でも50歳以上の人は、加齢臭が強くなり、においに対してのケアを怠る人が多くなるため「老人臭」とも言われるようになります。
しかし、中には体を清潔にして、においに対しての対策をしているのに、加齢臭・老人臭が消えないという場合があります。
実は、その消えないにおいは『口臭』が原因となっているケースが多いのです。
そこで今回は、加齢臭や老人臭によって起こる口臭の原因について紹介します。
1.なぜ加齢によって口臭が起こるの?
1−1 口内の水分不足によるもの
口臭の原因として一番多いのは、「ドライマウス」です。
唾液には口の中の雑菌を抑える力があり、口のなかの細菌を洗い流す作用があります。
つまり口の中の唾液の分泌量が不足し、口の中が乾いてしまうと、唾液の作用がなくなり、口臭へとつながってしまうのです。
歯磨きを怠っている人や、むし歯や歯周病の治療ができていない人、入れ歯が汚れている人は、ますます口のなかの細菌が増えてしまい、口臭がきつくなります。
更に年をとると、だ液の分泌が低下します。歯間や舌・上あごに細菌がたまりやすい状況が生まれるため、より一層悪臭が放たれるようになるのです。また、降圧剤や利尿剤などの薬の副作用によっても唾液の分泌量は抑えられます。
特に高齢者の方は、水・電解質代謝に深く関わる体の機能が低下するため、発熱や食欲不振などで水分不足や脱水にに陥りやすく、ドライマウスの進行が激しくなる傾向があります。また、お部屋の乾燥のしすぎも、口の乾燥を招くため、湿度が50%以下になると注意が必要です。湿度60%前後を心がけましょう。
唾液腺マッサージで唾液の循環をスムーズにすることもドライマウスを軽減させる効果的な対策方法です!
そこで今回はドライマウスに効くマッサージ方法を紹介します。
ドライマウスに効く!マッサージ方法の紹介
唾液は、下あごのえら辺り(顎下腺)や耳の下辺り(耳下腺)などから分泌されているため、これらの部分を指の腹で優しく圧迫し、唾液を出しやすくするマッサージします。
まず初めに両側の耳前部と顎下部(下唇とあごの間にある溝の中央あたり)を5~10回程度、人さし指の腹で軽く押し回しましょう。
次に、上下の歯茎(表 側・裏 側)、 頬の裏側を舌の先でマッサージしましょう。
1日2~3回、痛みを感じない程度の軽い力で刺激してください。
また、梅干やレモンなどの酸味のあるものや、イカなどのよく噛んで食べるものを食事のメニューに取り入れることも、唾液の分泌を促進させるためにオススメの手段です!
1−2 生活習慣によるもの
口臭は唾液不足から起こりやすいことが分かったと思います。
唾液が減りやすい人は不規則な生活、慢性的な寝不足、食生活が悪いなどの生活習慣が原因していることもあります。
例えば、良く噛まないで食べる、柔らかい食べ物を食べる、喫煙、過多な飲酒、カフェインを含むコーヒー、紅茶などの飲み過ぎなどです。
唾液の分泌減らさないためには、生活習慣を改善する必要があります。上記の例を改善する他に、こまめな水分補給や、適度な運動も効果的です。できるだけストレスを溜めないこと、キシリトールなどのガムを噛んで唾液を促すことも大切になってくるでしょう。
また、加齢臭は中高年特有のノネナールという物質が原因で、年をとれば誰でも加齢臭は発生します。加齢臭を軽減する、進行させないためにも食生活に気をつけることが重要です。
中でも抗酸化作用を持つ食品をたくさん摂ることが一番効果的と言われており、主に「まごはやさしい」と呼ばれる5つの品種があります。
ま→豆類
ご→ごま
は→わかめ
や→野菜
さ→魚(小魚)
し→しいたけ(きのこ類)
い→いも類
また、これらの食品は和食に適したものばかりです。
「一汁三菜」をベースにした健康的な食生活を心がけることで口臭予防、改善につなげていきましょう!
1−3 歯周病によるもの
口臭は単なるにおいではなく「口のなかにトラブルがある」というサインという可能性も考えられます。例えば、歯周病や虫歯によって口臭が起こるケースです。
唾液には虫歯菌や歯周病菌などの細菌を殺菌・抗菌し、洗浄する効果があるため、分泌が減ると細菌が口の中で増大し、食べかすなどが残りやすくなります。
それに加えて、歯茎が痩せたことによって生じた隙間に、食べかす等が挟まって歯垢(プラーク)が繁殖します。その結果、歯周病や虫歯になるリスクが高くなるのです。
40代以降は、においの元の一つである「歯周病菌」が盛んに繁殖し、より歯周病が発症しやすくなります。
また、入れ歯や差し歯も口臭の大きな原因になります。
入れ歯や差し歯の材料は細菌や歯垢が付着しやすい素材であるため、手入れを怠ったり、間違った方法で手入れをしたりすると、細菌が増大し、口臭の原因となってしまうからですす。
歳をとると若い時に比べて、食事の多様化・人工物で歯を修復する機会が増えるため、口の中の環境は悪化しやすいです。
口内の清潔は口臭改善に直結します!
常に清潔な状態を保てるように口臭ケアをしっかりしていきましょう。
1−4 免疫力の低下によるもの
口臭の原因として、加齢による身体機能の衰えも挙げられます。
一般的に高齢者は若い人よりも免疫力が弱く、殺菌力も弱まっているケースが多くあります。口の中の細菌に限らず、内臓関連の殺菌が弱まったり、病気に対する免疫力が低下することも加齢臭に繋がっています。
これは自然現象なので、ある程度加齢臭が発生してしまうことは仕方がないとも言えますが、自身の体調をしっかり管理し、体の免疫を高めることで、口臭の発生を抑えられるかもしれません。
2.若い人も加齢臭が起こっている!?
2−1 若年性加齢臭
資生堂アメニティグッズ株式会社が、30~70 歳代の男女140 人を対象に行った加齢臭に関する意識調査よると、8割もの人が「自分の加齢臭が気になる」と回答しています。
このように、近年では20代後半から30代にかけて加齢臭が漂い始める人が増えているのが現状です。若い人で自分が「加齢臭」を漂わせているのではないか?という不安を抱えいる人が多いのではないでしょうか。
そもそも加齢臭というのは老化現象のひとつですが、加齢臭には「若年性加齢臭」という若者のうちから加齢臭が強くなる種類もあり、20代前半のうちから加齢臭が漂うというケースも増えています。
では、どうして中高年特有の加齢臭が若者からも漂うようになってしまったのか、若年性加齢臭の基本的なメカニズムと発生原因を紹介します。
♦なぜ若者に加齢臭が発生するの?
①生活習慣の悪化によるもの
生活習慣の悪化には、肉食や動物性脂肪に偏ったバランスの悪い食生活や、運動不足、飲み過ぎ食べ過ぎ、ストレス過多、過度な喫煙が挙げられます。これらの健康ではない生活習慣を続けると、酸化を促進する物質である活性酸素という物質が増加し、体内にたくさん溜まります。バランスの悪い食生活で蓄積された体内のコレステロールや中性脂肪などの脂質が次々と皮脂を酸化・脂質化させ、加齢臭の原因となる「ノネナール」というニオイ物質を沢山生み出してしまうことが若年性加齢臭の最大の原因です。
体の脂質が酸化し、ノネナールという物質が加齢臭の原因となりますが、若くして加齢臭が漂っているということは、体内で老化のスピードが加速している証拠でもあります。
年を重ねると共に、過酸化脂質や脂肪酸は皮脂の中で増加していきます。
そもそも過酸化脂質とは、中性脂肪やコレステロールなどの脂質が、活性酸素によって酸化した物質の総称です。また体にとって有毒であり、皮膚の細胞を傷つけ、色素沈着やシワの原因を作り、老化を引き起こす原因ともなります。これらのことが脂質を分泌する皮脂腺で起こると、ノナネールという加齢臭の原因となる物質が発生するというメカニズムなのです。また、肥満や運動不足によって、汗腺が詰まりやすくなることもにおいの元となります。
においの特徴として、古本や青臭いチーズに似ていると言われているようです。
体内で過酸化脂質が増え、悪玉コレステロールが増えていくことは、メタボリックシンドロームや動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などの生活習慣病の原因にもなります。
過酸化物質の増加が、血管の中で起こると動脈硬化などの生活習慣病になり、皮脂腺の中で起こると加齢臭になります。20代や30代で体臭のにおいが変わり始めめたら、体内でメタボリックシンドロームが進行し、生活習慣病にかかり始めているサインなので十分注意する必要がありそうですね!
②過度な筋肉トレーニングによるもの
筋トレなどの無酸素運動も加齢臭につながります。
乳酸という酸性の疲労物質を増加し、分解されるとジアセチルという「ミドル脂臭」の元になってしまい、加齢臭をより強くする可能性があるためです。かといって運動不足も良くないですが、無酸素トレーニングをするのであれば、ジョギングやエクササイズなど抗酸化作用が期待できる有酸素運動のほうが若年性加齢臭の抑制には効果的なので、無酸素と有酸素は併用して行うことを推奨します。
♦若年性加齢臭を防ぐ対策!
若年性加齢臭は生活改善が最も効果的な対策と言えます。
若年性加齢臭を防ぐ効果的な対策を3つ紹介していきます!
①食生活を改善する
加齢臭を防ぐには、皮脂を出さないような食生活をすることが重要になってきます。
そのためには
➀活性酸素を減らすビタミンCやEなどを十分に取る
➁脂肪分の摂取を控える
➂抗酸化作用のある食べ物をとるように心がける
などの対策をするといいでしょう。
まず、1日3食、偏食をしない規則正しい食生活が大切です。特に暴飲暴食や揚げ物ばかりのを食べる偏った食事、極端なダイエット、喫煙とお酒でストレスを解消することをやめ、野菜や果物を食べることから改善していくことをお勧めします。
また
その他にも、
・肉類、マヨネーズ、バターなどの脂質を控える。
・タンパク質では肉より魚、魚より豆腐などの大豆を食べる。
・抗酸化ビタミンをとるために、色の濃い野菜、ごま、ナッツ、柑橘類などのビタミン・ ミネラル<をとる。
・主食では玄米や胚芽米、雑穀をとるように意識し栄養バランスよく食べる。
・「まごはやさしい」などが入っている加齢臭対策に適していた和食を積極的に摂取する
ということに気をつけてみましょう。
②加齢臭が強い体の場所を把握する
若年性加齢臭の予防のためにも、「加齢臭が出る体の場所」を知っておくことが大切です。加齢臭は主に皮脂腺から排出されます。つまり皮脂腺が通っている、頭皮、額、首の後ろ、腋、胸の真ん中、背中、鼻や顔のTゾーンが加齢臭の基本的な発生ポイントと言えます。仕事中や汗をかいたときなど、この発生ポイントを消臭するだけでも十分に加齢臭が軽減されるのです!
加齢臭が発生しやすいポイントを把握しておくことで、例えば体の洗い方を改善することができます。上記に説明した加齢臭が発生しやすい7点の周辺を中心に以下の8つの部分を重点的に体を洗ってみましょう。
➊頭皮 ➋顔のTゾーン ➌耳の後ろから首筋 ➍胸部 ➎両脇 ➏背中の中心線 ❼へそとその周り ➑陰部
ゴシゴシ洗うのではなく、泡でそっと包み込むようにして洗うことがポイントです。ゴシゴシ洗ってしまうと皮膚が傷ついてしまったり、肌が皮脂不足だと感じてて、余分にニオイの元になる皮脂の分泌を促進させてしまいます。においが気になるからと、朝晩石鹸をつけて洗うことも控えましょう。余分な皮脂を分泌させないように、朝はシャワーを当てる程度にしてください。
その他にも加齢臭が発生しやすいポイントを把握しておくことで、洗濯の仕方を改善することもできます。洗濯をしてもにおいが残ってしまっていたり、においが取れなかったりといった経験はないですか?
においが取れない時の洗濯の方法2つあります。
①酸素系漂白剤を汚れが気になる部分に直付けする。その後、洗濯用洗剤を溶かした40度のお湯に30分から2時間ほど付け置いて、あとは普通に洗濯する。
②上記の場合でもにおいが取れない場合は、洗剤を通常の洗濯洗剤から介護用洗剤へ変更してみましょう。介護用洗剤は尿やアンモニア臭を取り除く効果が強いので、脱臭効果や漂白効果が洗濯用洗剤よりはるかに強力なのです。
③適度な運動を心がける
適度な運動も重要です。
仕事が忙しくても、いつも降りる駅から一駅前の駅で降車するなどして1日2000歩程度歩くことをお勧めします。万歩計で現在の1日の歩数を確認してみるのもいいでしょう!
血液の循環を促して代謝量を高めるために、適度に筋肉も鍛えることも良い行動です。胸筋や背筋など、体の中で大きな面積を占める筋肉を鍛えることは基礎代謝量を高めることにもつながります。基礎代謝が高くなると血液の循環がよくなり、消費するエネルギー量が増え、脂肪の燃焼にもつながります。
また、ストレスをため込むことはよくありません。運動をすることはストレス解消にもつながります。
自分なりのリラックス法を研究し、1日に1回は心が穏やかになるような空間を作ることを心がけましょう。
2−2 スマホ口臭
IT化にともなって「スマホ口臭」というものが増加しています。
一体スマホ口臭とは何なのか、効果的な対策法と一緒に説明していきます。
♦スマホ口臭とは
20~30代のスマホ使用率は90%を超えていますが、スマートフォンの使用を1時間以上続けていると口臭が強くなりやすいというデータが明らかになりました。
若い人で加齢臭に当てはまらないけれど、何か口が臭いと感じる人は「スマホ口臭」が当てはまるかもしれません!
スマホ口臭が起こる原因として主に4つの要因があります。
①長時間のスマホ利用は、体を動かさずにうつむいた状態で画面を見つめている状態になるため、過緊張状態になり、のどにある唾液腺や舌下腺、顎下を圧迫し唾液を出にくくさせている。
②スマホ使用中は集中し、誰とも話さなくなるので、あまり顎を動かさなくなり、唾液の分泌量が乏しくなる要因を作り出しやすい。
③ずっと1点を凝視していることで、興奮状態で働く交感神経が優位になる状態を招きやすい状態になる。唾液の分泌は自律神経によってコントロールされ、リラックス状態で副交感神経が優位になっているときに分泌が盛んになるため、結果的に唾液の分泌が抑えられる。
④スマホに夢中になっていると、口が開いたままの状態だったり、口呼吸になりやくすなるため、口の中が乾燥した状態になりやすい。
以上のように唾液の分泌が減少する悪条件が重なります。
唾液不足の状態が続くと唾液の作用が弱まり、上記で紹介したようなドライマウス が起こりやすい環境を作ってしまうため、口臭が発生するリスクが高くなります。
そのためにスマホを見る状態を1時間以上続けた場合、口臭が発生しやすくなるのです。
♦スマホ口臭を防ぐ対策
スマートフォンやパソコンを長時間使うときは、唾液腺をほぐすための背伸びと簡単な舌の体操をこまめにすることが、スマホ口臭を防ぐ1番の効果的な予防法になります。
【スマホ口臭を防ぐ体操】
①1点を凝視していることで起こってしまった過緊張状態の顔の筋肉をほぐすために、30分に1回程度、あごを上げて大きく背伸びをます。
②次に舌を少し出し、右回転・左回転それぞれに12回、唇をなめるようにぐるぐる回します。
③さらに唾液の分泌を促進させるために、上の歯と下の歯をカチカチと噛み合わせ、あごを30回ほど動かします。
体操の他にも唾液腺マッサージをすることもおすすめです。
最初に紹介した「ドライマウスに効くマッサージ法」を是非実践してみましょう!
3.まとめ
いかがでしたか?
加齢による口臭は誰でも起こりうる現象です。
・常に清潔を保つこと
・口の中を乾かさないこと
・体調管理をしっかりすること
がとても重要になってきます。
また、若年層の人も加齢臭、口臭が起こりうることが分かったと思います。
人それぞれ原因も対策方法も違うと思うので、自分なりの対処方法を見つけ加齢臭が強まらないようにしっかりと対策していきましょう!
最後までご覧いただきありがとうございました。
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